晴くんとのお別れはあまりに突然だった・・・。
亡くなるまでの約1週間何も食べず、水も飲まず、ただうずくまってるだけ。
何も受け付けなくなって2日目に近所の病院へ・・・そこでのことは怒りしかない。ひどい獣医だった!
プレーリードッグの症例に詳しくなさそうだったけど、とりあえず症状を説明すると、聴診器を当てた。
「肺炎ではないね。じゃあエコーで診てみよう。」と言ったと思ったら、
助手のお姉さんに「お前しっかり持ってろよ!こいつに咬まれたらハンパじゃないぞ!」
これを聞いてぴろはビックリした。
口が悪いにも程がある!こいつとは何だ!こいつとは!それもぴろの目の前で!!
それに人のことを「お前」と呼ぶ奴が大嫌いだ!偉そうに!名前があるんだから名前で呼べ!!
(↑これは打ってて思ったこと。その時はそれどころではない。)
「あ〜ガスが溜まってるね。」「どこにですか?」「・・・胃かなぁ?肺なのかなぁここは?」
…おいおい臓器の場所も分からないのか?しまいには本を取り出す始末。
ここでホントに呆れかえってしまった。
「ちょっとこれだけじゃ分からないなぁ・・・
でもこれから検査を進めていくにしても、こっちのリスクも考えて下さい。」
「・・・はぁ?」
「プレーリードッグは症例も少ないし、咬まれたらこっちが大変だから、
その辺のリスクも考えての料金になるんですよ・・・で、今日はどうしますか?」
とことん呆れ果てたぴろは「・・・・・・・・・帰ります。」
「え?」「今日はいいです!もう帰ります!」と言うと、
「・・・あっそうですか!・・・じゃあ何しに来たんだよ!!」と捨て台詞・・・
ぴろまたビックリ!なんなんだこいつは!お前それでも獣医か!!
すぐに怒鳴ってやりたかったけど、苦しむ晴くんをこんなとこから早く連れ出す方が先だ!と思って、
「おいくらですか?」と言うと、「いらないよ!早く出てって!!」
・・・もう怒る気にもならない。他にも待ってる人がいたので、さっさと出た。
外に出たぴろはわなわな震えが止まらなかった。”こいつ訴えてやる!”と思った。
でもそんなことより晴くんだ!!
急いで家に帰ってタウンページを開き、なるべく近い病院を探し、見つけた隣り駅の病院にпB
まずプレーリーを診てくれるか聞くと、「今も通ってる子がいますよ。」との返事にホッとして、
「これからすぐ行きたいんですけど、大丈夫ですか?」「はい。今空いてますからどうぞ。」
・・・さっきとは偉い違いだ!すぐにタクシーを拾って、病院へ。

まず問診表を記入。
すぐに呼ばれてぴろが晴くんを抱いて先生もなでなでしながら触診。
症状を説明・・・「何も食べないとなると、胃か肝臓ですね・・・」
「さっき診てもらった病院でガスがたまってるって言われたんですけど・・・」「どこにですか?」
「ハッキリ分からなかったみたい。ひどい先生だった。」「どこですか?」と聞かれて病院名を言うと、
「あ、あそこですか・・・」この返事でさっきのあの態度に納得。
「・・・まずレントゲンを撮りましょう。この子は人慣れしてますか?」「いいえ。私じゃないと・・・」
「そうですか・・・でも大丈夫です。革の軍手がありますから。ちょっとお預かりしますね。」
・・・そうでしょ。普通こうでしょ。初めからここに来てれば良かった・・・
待合室で待ってるとまた呼ばれて、先生から説明を受ける。
「ガスがたまってるって言われました?たまってないみたいだけど…レントゲンでは何も写ってないですね…。」
"ヤブ医者め!!"
他に尿検査と検便をした結果、便に原生菌を確認。
でもこれは元々プレーリーが持っているもので、これが悪さをしたのかも?と、
ハッキリとした原因はこの日のうちには分からなかった。
「あとは血液検査しかないんですけど、今日晴くん疲れたんじゃないかな?
それにプレーリーは手も足も小さいから、血管探すの大変なんですよ。
採血するのにも時間かかるので、また明日来れますか?」
・・・原因は早く知りたかったけど、確かにそうだ。晴くんもうぐったりしてる。
採血は次の日にして、とりあえず注射(抗生物質)と皮下点滴(ビタミン)をしてもらって帰った。
今思えば、その日はまだそれほど深刻な問題に捉えてなかったと思う。

家に帰って、先生に「食べるならなんでもいいから食べさせるように。」と、言われたのを思い出し、
晴くんの大好物のバナナとぶどうを口に近づけた…でもやっぱり食べてくれない…
小さくして口に入れても口を動かさない。
いつもと同じようにベッドで一緒に横になる。晴くんはぴろの腕枕で寝るのが習慣になっていた。
よほど疲れてたんだね。すぐに丸まっちゃった…
でも薄目を開けたり白目をむいてぼ〜っとしてることが多かった。

…この辺から記憶があいまい…
次の日、病院で採血をしてもらって原因が分かると、ぴろは泣き出してしまった。
その時は先生の話をしっかり聞いてたと思う。でも今思い出そうとしても、自分の感情しか思い出せない…

”晴くんが死ぬ?どうして?そんなのイヤだ!晴くん死なないでよ!
ぴろを置いて逝かないでよ!!お願いだからがんばって!!”

…結果は、肝・腎不全…正常な数値と比べるとものすごいオーバーしていたそう。
今すぐに死んでしまってもおかしくないとまで言われた。
「でも出来る事があるならしてください。お願いだから助けて!!」と大泣きしながら頼んだ。
「でもね、見ての通り晴くん今ものすごく苦しんでます。
白目をむくって言ってたけど、もう意識もほとんどないと思いますよ。
酷いことを言うようですけど、1つの選択肢として、安楽死という選択もあります。
苦しい延命治療は逆にかわいそうな事でもありますからね・・・」
そんなこと突然言われても分かんない!!出来るわけない!安楽死なんて!!
…その後どんな話でそうなったかは覚えてないけど、
強肝剤と、強心利尿剤、抗生物質を点滴することになって、
晴くんは入院しなければならなくなった。
「一晩やってみて、もし少しでも数値が戻ってきたら治療を続けましょう。
ダメだったら…その時はずっと暮らしてきた家に帰って、ずっと一緒にいてあげてください。」
こんな感じのことを言われたんじゃないかな・・・晴くんを1人残して帰ることが不安でたまらなかった。
もしこのまま病院で死んでしまったら…そればっかり考えた。
でももしかしたら今日の治療で良くなるかもしれない…。
次の日、ぴろが面会に行くまでの間に病院からのрヘ無く、晴くんは1人で頑張っていてくれた。
病院に入ると、奥のケージにすぐに通される・・・丸まった晴くんがいる。
やっぱり白目をむいてる・・・「はる!」と呼ぶと、少し間はあったけど、ぴろの声に反応した。
先生からの説明を待つ間、ケージの中に手を入れて晴くんを撫でていた。
痩せてお腹だけがぽっこりしてる晴くんを…
晴くんの小さな細い腕にはまだ点滴の針が刺さってた。その痛々しい姿を見てまた涙。
前の晩、ずっと考えていた”安楽死”
…どうしても死んじゃやだ!でもこんなに苦しんでるのにこのままでいいの?
…安楽死を選んだら、晴くんは楽になれる。でもまだ生きてる!!
結局、安楽死を選ぶ事は出来なかった…先生からもう助かる見込みはないってハッキリ言われても。
一晩かけて点滴したけど、晴くんの容態は変わらなかった。
そこでまた悩んだ。家に連れて帰っていいものか・・・。
”もしかして明日まで続けたら良くなるかも”そんな期待が消えずに、なかなか決められなかった。
随分長い間病院で悩んでたと思う。そしてやっと連れ帰ることに決めた。やっぱり安楽死を選べない。
先生にそう言うと、「そうですね。飼い主さんの傍が一番いいですね。」
…どんな答えを告げても、きっと先生は気の休まる事を言ってくれたに違いない。

この頃は理由を話して仕事は休ませてもらっていた。
こういう理由を分かってくれる人で良かった。本当に感謝しています。
それから2日間ほとんど眠らず、ただず〜っと晴くんを撫でていた。
気休めにしかならないけど、病院にも行って、利尿剤とビタミン注射をしてもらった。
帰って試しにぶどうを渡してみる…すると、ほんの2、3回、ペロペロ舐めてから続けて1口食べた!
仰向けに横になったままぶどうを持って食べてる晴くん。
もうすぐ死んでしまうなんて信じられないくらい普通に見えた。
でもそれからは…どんどん呼吸も荒くなって、うつ伏せの状態から動かなくなってしまった。
時々苦しくて「ぎゃあ〜」と声もあげていた。もう動かすのもかわいそう。
ホントにもうすぐ逝ってしまうんだね………そして………


  

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